EmiDebu

ノーカントリーのEmiDebuのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
5.0
当フィルマークスで最もフォロワー数を稼ぐユーザーが某サイトの解説をパクってるような感じでなかなかスキャンダラスだが、同一人物の可能性もあるしまぁそれはおいておいて、今年観た映画でかなり上位に入る。1位、2位と言い切れないのは、そこにやはり全てを理解し切れてないという部分があるからだ。全てを理解した映画ってそもそもあるのか?って話なんだけどこの映画に関しては特に難しかった。
[追記]そのユーザーの完全コピペレビューは偶然かという質問を当事者に投げかけたところブロックされたので完全にパクってやってるみたいです。

とはいえ、手放しでもこの最初から最後まで続く緊張感、オッサンばっかでBGMもない独特の世界観、これだけでも十分楽しめる映画であることは間違い無い。この映画における暴力描写は、淡々と静かに、そしていとも簡単にその命を奪っていく。この映画にはよくサプレッサーが登場するがこの静かさを壊さないいい演出だ。

面白い映画、自分がハマる映画はキャストやストーリーの全容が全く掴めないオープニングの段階でも心を奪われるという持論があるのだが、この映画はその持論をさらに確信めいたものにした。、

何かに突き抜けている映画の魅力というものはすごい。それがコメディであれホラーであれ、「半端じゃない」ということはそれだけで大きな価値を持つ。人が人を殺す映画、サイコパスが描かれる映画はごまんとあるがそれでも一線を画している個性がこの映画にはある。衝撃展開を演出し過ぎない、なんなら画面上で描かないことが多いこの映画。そんな映画ばっかりだともちろん埋もれるが現代においてその表現は日常のように冷酷に人の命が奪われる真新しいものだった。

映画を他人の人生の追体験だという人がいる。確かにその側面は必ずあるはずだし、それは映画をよりリアルに体感するとても重要な要素だ。だからこそ、映画は細かい小道具にまで気を配り、時に音響や3Dの力を借りてより視聴者を引き込もうとする。実際、この映画からは1秒も目が離せなかった。しかしモスに感情移入していると、このどこまでも付いてきて絶対に自分は死ぬんだと思わせるシガーの存在はストレスなはずなのに、この映画を何十時間も観ていたいと思った。これが本当に不思議で普通だったら、例えばやっぱりアンパンマンにはバイキンマンに勝って欲しいし、半沢直樹には倍返しして欲しいじゃない! しかし、心のどこかでこの映画ではその逆、つまり残虐性を求めてしまう部分があったしそれくらいシガーの強烈なキャラクター性が活きていた。

本来は、泣ける映画に弱い。そういった映画に対して高評価をつけがちだがこの肌に感じるほどの緊張感は衝撃的だった。せめて一部分でもこの映画をもっと知りたい。メッセージを汲み取りたい。コーエン兄弟の魔力なのだろうか。やられました
EmiDebu

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