sakatin

真夜中乙女戦争のsakatinのレビュー・感想・評価

真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)
4.5
大学最初の講義で絶望し、教授に歯向かっていった「私」。原作で書かれていた、何事も要領よくこなす友人の佐藤をボロボロに否定するセリフが記憶に残っている。
しかし映画の中で、黒服と常連たちと騒ぎくだらない遊びに興じる「私」の姿は、否定された佐藤と何が違うのだろう。ああ、こういう普通に憧れていた凡庸な人間だったのかと思った。
そんな「私」よりも常連たちよりも何よりも先輩の姿が美しく感じた。
先輩が美しく描かれ、美しければ美しいほど最悪な結末がさらに最悪になる。原作の小説とは展開が違っていたが、何も救えない、ハッピーエンドになり得ない絶望を、原作を読んだ時と同じかそれ以上に味わうことができた。
sakatin

sakatin