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西成ゴローの四億円 死闘篇のmoonlightのレビュー・感想・評価

4.7
東京・日比谷シャンテの特別一挙上映で、『西成ゴローの四億円・死闘篇』を鑑賞。
前編の『西成ゴローの四億円』の続編ではあるが、一気にスケールが大きくなった印象。

まず、個性的な役者陣に惚れる。関西弁でゴローに迫る万里生(木下ほうか)の凄み、ゴルゴダ(加藤雅也)とゴローの面白すぎるやりとりと激しい死闘の末の哀愁ただよう最期、そして、フィクサー(奥田瑛二)とゴローのしびれるような対決…どの場面をとっても、さすがは!と惚れ惚れするかっこよさ。何より、ゴローの表情のひとつひとつが胸に迫る。

そして、フィクサー父子の確執に胸が痛くなり、カネやん(笹野高史)とゴローのシーンでは、切なすぎて涙がとまらず。(カネやんとゴローのやりとりをより深く味わうためには、前編は必見!)

どこまでもかっこいい男たちの物語ではあるが、そんな男たちの死闘の陰に、愛する男のために、命がけで生きる女たちの切なさが垣間見えるのも魅力。フィクサー父子の深い溝の裏には、愛する男が他の女のもとに行くのを見送ることを赦せない女の業が描かれているし、フィクサーに仕える雫も、日向(津田寛治)の愛人である一三子も、愛する者のために、自らの命を投げ出すことを厭わない。そして、闇金姉妹の松子もまた恋ゆえに… ^ ^

敵味方関係なく、ゴローとりまく人物たちが、とてつもなく魅力的。これは、どの作品においても、一人ひとりの人物をしっかりと描ききる上西ワールドの真骨頂なのだと思う。あの振り切れた闇金姉妹も、彼女たちが背負うものも明らかになると、愛おしくなってくる。

痛快なアクションと、どこまでも人情味あふれる浪花節的要素が見事にからんだ最高のエンターテイメント作品。この作品を観たら、上西組からますます目が離せなくなることは間違いなし!
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