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20歳のソウルのBCのネタバレレビュー・内容・結末

20歳のソウル(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

泣き演技が上手いキャストを揃えていたけど、極力そういう場面をアップで撮っていなかったのが印象的だった。
多分、本当に泣いているんだろうけど、露骨にその姿をクローズアップせずに余白をもたせている感じ。

大義くんは他の人がいる時には自暴自棄にはならない。
だからこそ、屋上で一人きりの時の叫びが痛切だった。
周囲の人からみたら強い若者だろうけど、本人は決して強くない。
強がっているわけでもなく、必然的に真ん中にいる責任感からくるものなのだろう。
大義役の神尾楓珠は美形だし演技も上手いほうだけど、主役を張るにはまだ何か足りない気もして、
目の形が特徴的なので目力あるように見えるけど、キツくはなく優しいからなのかな。
正直、真ん中でぐいぐい引っ張っていくリーダー的なキャラには見えなかった。
だけど、強そうに見えて強くはない面は合っていたと思う。

むしろ、先生役の佐藤浩市のほうが圧倒的主役感がみなぎっていた。
佐藤浩市は顔は濃いけど演技は派手さはなく控えめなので、助演の時は主役を喰うことはめったにないんだけど、
今回はモデルになった先生も現場にいらしていたからか、
ぶっきらぼうに見えて熱いキャラクターが力強い存在感で。
単に生徒を導く立派な先生ではなく、生徒と対等に接し共に考え、先生も成長している。
先生だからといって偉いわけではない姿がリアル。
だからこそ、大義くんも先生を尊敬し後継者になる夢を抱いたのだろう。
大義くんの祖父が先生に大義は先生のことを尊敬していた旨の言葉をかけた場面は素直に泣けた。

大義くんの恋人役の福本莉子はTOHOシネマズの新キャラクターや昭和歌謡のドラマしか私は知らなかったので、ぶりっ子なイメージもっていたけど、
この作品で付き合って間もない大義くんが病気になっても逃げず、
彼に素直に向き合い叱咤激励しながら支える彼女は母性的でとても良かった。
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