「葵さん。あれ、もう一度お願いできますか?」
前半に主演女優さんがエル・カンターレファイトでチンピラ幽霊を除霊するシーンがクライマックス。なぜあの女子大生にエル・カンターレする力が宿っているかは不明、信者ならみんなできるんかな? 後半は失速ぎみだがエヴァ旧劇オマージュと思しきメタ演出で無事着地する。
ただ、ラスト5分ぐらいに登場する教団ねじ込みババアだけは誰得で一刻も早くご退場願いたかった。スピリチュアルに目覚めたとはいえ、あの女子大生の40年後が変な髪型のマナー講師風おばさんになってるのは無理があるし可哀想。
話の内容は怖くない呪怨+大川隆法って感じで進む。ホラー映画としては子供の出てくる感じとか全体的に清水崇作品の雰囲気に近いのでまぁまぁ面白かった。カメラワーク等で観客を飽きさせないように工夫しているが、基本は剣道部女子の前世が新選組だったりするくだらなさを楽しめる人向け。スピリチュアル純度100%、グロシーンやジャンプスケアで驚かしたりしない高齢者の心臓に優しいホラー作品。
エンドロールではこの作品が事実に基づいていることを強く強調される。昨今の邦画は何でもかんでも「この作品はフィクションです」を載せるが、それの逆。フィクションで逃げる風潮に反旗を翻す様は見事。しかし、エビデンスとして得意げに隆法の霊言を流しているがそれで納得するのは信者だけだろう。