近本光司

ミュジコフィリアの近本光司のレビュー・感想・評価

ミュジコフィリア(2021年製作の映画)
1.0
絶望的にお話がつまらない。家父長的な天才音楽家の父のもとに生まれた嫡子と私生児の兄弟のあいだの相剋と和解という主題だけ聞けば、まるで古代ギリシアの戯曲かのような壮大な印象を受けるのだが、それが京都の音大生の話となれば一気に陳腐なものと化してしまう。山崎育三郎と井之脇海の口論がエスカレートして二人で同時にピアノに怒りをぶつけた瞬間に堪えきれずに爆笑してしまった。いったいどういう風の吹き回しなんだ。しかし松本穂香が優等生めいた科白を吐く作品はすべからくサムくて受け入れられないなあ。彼女にはぎゃくに不埒で奔放な役どころを与えたほうがおもしろいんじゃないかと思う。