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I AM JAM ピザの惑星危機一髪!のYouKeyのレビュー・感想・評価

4.5
 今年三度目の神戸訪問中に観賞。意外な傑作登場。どうにも最近のスタンディング上映や鳴り物入り観賞へ納得できず、そもそもMCUやDCなどのやかましい作品が合わない身にはありがたいサイレント映画の活弁吹き込み版(巡業で弁士公演版あり)。せっかく神戸まで来たんだから、名画座ばかりでなく新作、それも大型シネコンでかからない作品をと探したら東京で観られなかったのを発見。街歩き性筋肉痛(熱中症で寝込んだ後遺症か?)を圧して朝食後すぐに出かけて観た。

 おポリコレ様と現在の殺菌されたハリウッドへの挑戦状。マルセル・マルソー、チャップリンから良かった頃のスピちゃん、毒にも薬にもなったハリウッド映画、メリエス、ひょうきん族、手塚治虫先生、大林宣彦監督、伊丹十三監督、そして青山真治監督に至るまでとことん映画やポップ・カルチャーを吸収してきた辻凪子監督の活動屋としての矜持と言葉狩り社会への警告が熱く火傷しそうなほど伝わってきた。1995年でハッとしたが、監督の生年とのこと。

 上映後には音楽担当のピアニスト、天宮遥さんとアコーディオン弾きにしてトイミュージックメイカーのイマイアキさんによるトークと生演奏があり、充実したひとときだった。いかにコロナ禍を克服して完成させたかを知りたかったためパンフレットを購入。お二人からサインをいただいた。

 東京から映画観賞と古書店に喫煙可能な喫茶店探しを主な目的に神戸へ出かける好事家も私くらいなものだろうが、これにて誕生月のイベントは終了。

 エンドロールを最後まで観るべし。
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