トランスジェンダーが直面する様々な障壁についてきちんと言葉で表現できていて、それに対する解説や説明はない。でも、それでいいと思う。
長編ならまだしも、短編の尺で何も知らないマジョリティの括弧付きの不安のために一々説明してやる義理はないし、それでも本作は短い時間に基本的な用語や人権のこと、インターセクショナリティについて詰め込んでいるから、映画としては非の打ち所がない。
エリンさんは白人であることと大学教授である点で非常に特権性を持っており、その特権性を使ってこの映画の被写体になっている。これこそ正しい権力の使い方……。
あと、和人っぽくない見た目だと日本語以外が喋れて当然、みたいな人種バイアスやクィアコミュニティ内での差別も言及され、すごく包括的。
同性婚が未だに出来ないし戸籍上の性別を変えるには望むかどうかに関わらず性別適合手術を受けなければならないヘルジャパン、まずは自公維国の候補者を少しでも多く議員の座から引きずり落とすこと、そしてオールジェンダートイレの不安についてSNSに投稿しているアカウントを片っ端からブロックして「トランスジェンダー入門」を広めるところから始めなければならない。