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クレッシェンド 音楽の架け橋のりのレビュー・感想・評価

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アンサンブルをやったことがある人ならよく分かるであろう「相手の目を見て呼吸を合わせる」ことの重要性。そしてオケにおいて必ず要求される「音を調和させる」という基本中の基本。

個人としては実力のあるプレーヤーであっても、歴史・政治・宗教が障壁になって合奏を始めることすらできない序盤〜中盤はしんどかったです。
ここまで根深いものになると大人になれとか割り切れとかそんなレベルの話じゃないというか。
ここをあっさり和解とはさせなかったところで、よくありがちな相互理解&感動の押し付け系ではないな〜と悟りました。真摯ですね。

…とはいうものの、現実は甘くないと我々に突きつけるには凄惨すぎる展開するじゃないかとも思ってしまい少し引いてしまったところも正直ありましたが、それを抜きにしても最後の合奏シーンで物理的に隔たれたメンバーたちが目と気持ちと音で一つになる姿には込み上げるものがありました。

作中でロンが「なんのセラピーやねん」みたいに言うシーンがありますが、日本人の私たちにも十分身に染みるテーマだったと思います。
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