聾唖者が社会で生きる障壁、ヤングケアラーとしてのルビーの葛藤、微妙にこじれた母娘関係などヘビーな問題提起がありながら、王道の師弟モノでもある重層的な構造は見事。
その分ストーリーの帰結は安直な気がしないでもないが、人間は王道に弱いのでとにかく泣ける。
粗暴だが強い家族愛を感じさせる父親のキャラクターが一番好き。
印象的なのは、ルビーの喉に手を当てて振動で歌声を感じようとするシーン。
健聴者の観客が喝采する様子で娘の才能を理解してはいたのだろうが、喉が震える=確かに存在するものとして歌声の力を自ら感じ取ろうとする姿に、父親としての唯一無二の愛情を感じた。
