ごんす

コーダ あいのうたのごんすのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0
フランス映画「エール!」のリメイク。
歌の才能を見出だされ広い世界に羽ばたこうとするが、家族を残して行くわけには…というお話としては王道。
しかし今までにない感動。

設定も話もオリジナルとほぼ同じだが良かった所は全て今回の「コーダ」は更に良くなっていた印象。
これから「エール!」より良かったみたいな書き方をしますが、
自分は「エール!」はファンタジーに感じてしまい引っ掛かる所もあったけど、好きな映画ではあった。


今回の「コーダ」を観るまでCodaと言う言葉の意味
Child of Deaf Adults(きこえない、きこえにくい親を持つ子供たち)さえ知らなかった自分が主人公を身近に感じ、もっとこのような境遇の子供達について知りたいと思わせてもらえた。

これは「エール!」観賞後には無かった感想。
まぁタイトルが「コーダ」だからコーダって何?って調べやすいのもあるのだが、何を言いたいかと言うと「コーダ」の方がより自分の生きる世界、社会で生きる人の話だと感じられたのである。
まず「エール!」と違って「コーダ」は主人公以外の耳のきこえない家族3人の役に実際に耳がきこえない俳優達を起用。
同じ食事シーン1つ取っても伝わってくるものが全く違う。

きこえない役はきこえない俳優、車椅子の役は車椅子の俳優を…といった流れは多くなっていきそうで、これからも沢山観たい。

マイノリティとされる人々や男女の描き方などはこれからも価値観が更新されていくと思われるので何年後かには古いと
言われる可能性があって本当に作り手は勇気もいると思う。

そして自分のような社会の出来事や一般常識に疎い人間は映画から色んなことを学ばせていただいているので本当にありがたい。

自分がこの映画の世界に入り込めた要因の一つが主人公の兄のキャラクター。
彼の存在が物語によく効いている。

家族の中でも一番耳がきこえないことをハンデに感じさせず、漁仕事と筋トレにより良いカラダをしていてモテる!
この設定が必要以上にきこえなくて可哀想と思わせずに良いバランスだったと思う。

「エール!」でも持ち味?だった下ネタもパワーアップ。
特にお父さんが操る字幕いらないクオリティの高い下ネタは面白くて最高。

エミリア・ジョーンズの歌声や表現力も手伝って音楽映画としても素晴らしく、歌うことで無意識に魂が救われている子なんだなと前半で分かる。
この人は今後賞レースに絡んでくるのでしょうか。凄い…。

しかし、リメイクとは言えかなりオリジナルと展開も同じなのにこんなに感動するとは…(繰り返しになりますがオリジナルも好き)
両方観ると面白いので観比べるのおすすめです。

横の席が10代と思われる女子だったこととティッシュもハンカチも忘れたことが重なり我慢してたのですが終盤は我慢できず涙が溢れてしまった…
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