一定の質は保証されてそうだがそんなに食指の動かない題材だなーと思いつつ、でもまあ賞レースにも入ってるし見ておくか……みたいな心境で見てしまったのだけど、ものすごく素直に良い映画で、結果として見て良かった。聾者を真摯に描いた映画でありつつ、まさしく王道の巣立ち映画でもある。
奇をてらうことのない王道の展開を堅苦しさなく見せきっている点がまず素晴らしい。社会的な視線とエンタメとしての面白さを高いレベルで両立しつつ、クライマックスの一連のシーンでは両者が引き立てあった、この題材だからできる見せ方を存分に見せつけてくれる。これはもう文句なしに素晴らしい。終盤はそれやられたら否応なしに感動しちゃうよ！みたいなのの波状攻撃みたいな感じさえあった。
家族やV先生をはじめとしたキャラクターも全員立ってて見やすいのもグッド。なかでも終盤のあるシーンで主人公の兄の見せる感情がたまらない。最高のクソ兄貴だ……
