みかん

コーダ あいのうたのみかんのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

昨日のオスカーで多数受賞してたので駆け込み!!
過去1家族愛に溢れてた作品だった…本当に泣ける
中でもやっぱり手話が会話の多くを占めてて胸にくるものがあった。

数日前日本のある映画作家さんのツイートで「ドライブ・マイ・カーにおける手話はパフォーマンスとしての扱いで感情がこもっていない棒読みの演技」と評されてたの(私は見てないから何も言えないけど)…
それで今作を見たんだけども実際に父・母・兄の俳優さんが聾唖者であることからも
彼らの手話に魂がこもってて、喧嘩するシーンは感情的だから手話の一つ一つの動作が荒く強かったり、
逆に穏やかに話してる時は曲線を終始描いてるかのようになめらかだったり、
感情のこもった本物の手話ってこの作品で出てきたもののようなものを指すんだなって実感した

まして典型的な手話のフレーズじゃなくてスラングも多く出てきて手話にもスラングがあることに驚いたし、同時に音声はなくても言語であることに変わりはないんだなと感じた作品

高校の歌の授業の一環で手話と同時に歌うまさにルビーと同じことをしてたんだけど、
自分は感情のこもった手話が出来なかったので猛反省。
ルビー役のエミリア、今作の為に手話と歌のレッスンを受けたとは思えないくらい元から知ってるかのように馴染んでて女優魂感じた

ただの聾唖者と健聴者の一家を描いただけじゃなくて、反抗期・思春期・受験期等一般のティーンエイジャーにも共通する等身大の女の子としてルビーが描かれていた部分が良かったかなぁ



すごく印象的だったシーンはたくさんあるんだけど、
今までたくさんマイルズと練習した"You're All I Need to Get By"の本番がダントツ。
母が新調した赤いドレスを着て、やっと2人のデュエット練の集大成が観れると観客の誰もが思ったと思う。私もそう。

でもここで監督はあえて無音にするんよね。
衝撃だった。天才か。

映像は華やかだし、ルビーとマイルズは歌ってる。視覚では伝わってくるけど聴覚では何も伝わってこない感覚。
聴きたいと望んでいるその歌声を聴くことができない状況。
ただの観客である私ですらこのような感情になった分、実際大好きな家族の上手い歌声を聴けないロッシ家の実情が痛いほど身に染みて忘れられないシーンになった。

映画館にいること忘れるくらい無音だったの!本当驚きしかない!!まだ見てない人は是非劇場で見てほしい作品。


登場人物の人間性も憎めなくて…
特に兄貴とV先生、親父がとてつもなくいいキャラだった…

バカ兄貴とは言われつつも家業のことちゃんと考えてたり、何よりルビーの歌声が凄いって噂を聞いただけで彼女の音大進学を彼なりに後押しするシーンがものすごくカッコよかったし
軽口叩きながらも妹のこと思ってるのがめちゃくちゃいい兄貴だった、、、

V先生はもう言うまでもなく聖人ですね、はい。
最初クセ強いなあとしか思ってなかったけど
ボウイとボブ・ディランの「砂と糊」の例を引用してルビー勇気づけたり、
彼女の歌の可能性を本当に信じてるからこそ自分のプライベートの時間割いてまで目かけてるんだと思う
手話覚えたのに「お会いできて」を「f***できて」って間違えちゃったり、最後バークレー受験の時にピアノ伴奏飛び入り参加したり、ルビーの力が思うように発揮できてないことを暗に示す故意な伴奏ミス…あのシーンに先生の魅力詰まってる。私もあんな先生に出会いたかった人生ああ悲し

親父は下ネタキツいしKYな所もあるけど
コンサートでのルビーの姿と観客の様子を見てルビーの音楽の可能性を悟り、
コンサートの夜ルビーの首を触ってバイブで歌を感じるお父さんが娘想いで愛に溢れてた



もう今作は高評価つけない道ないんだけど、どうしても遅刻癖と先生に対するリスペクトがややかけてたルビーにん?ってなってしまったのでそこだけマイナス!他文句なし!!
めっちゃ歌うまかったしマイルズ役の子シング・ストリートの主演だし!最高としか言いようがなかった!
みかん

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