次男坊

コーダ あいのうたの次男坊のレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5
(ネタバレなし)
先日のアカデミー作品賞受賞により踏ん切りがついて鑑賞できた。

家族の中でたった1人の健聴者である主人公と家族の音楽の物語。

音楽をテーマにした映画ではあるが決してミュージカル調な派手な演出、場面構成、派手な伏線回収劇があるわけでもない、その飾り気のなさが逆に良かった。加えて、耳の聴こえない家族の背景や心情、彼らに届く音楽というものがここまでリアルに表現できるのかと演出に驚いた。
序盤からスムーズに物語が展開され、洋画あるあるな音楽やテンポで客の感動を煽り見応えのある最期へと向かうあの感じはなかった。
家族それぞれの言動ひとつひとつが生々しく面白みがあり、見終えた後、家族の誰かしらに共感して議論できそうな感じがあった。また、手話で語られる部分、声で語られる部分の使い方が絶妙で、その長けた演出に自然と感動するシーンが多かった。
登場人物それぞれの視点に立って鑑賞できる構成なので主人公にひいきした展開に転んでいくようなこともなく、さまざまな感情が湧き上がる映画だった。これは映画通にもハマる作品なのだろうと納得した。
序盤からブラックジョークが多く少々驚いたが作品としては非難する部分が見つからない素晴らしいものだった。
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