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コーダ あいのうたのpotatoのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

中々に最高の映画 
普通に感動して泣いた
いくつかのジャンルに属してる作品やと思うけど、そのほとんどのジャンルにおいてかなり高いクオリティを叩き出していて、総合的にもかなりの良作に仕上がっているって感じ
ただ一つ、恋愛ものとしては少し弱いかなって感じた
全然いいんやけど、他のテーマの描き方が感動的すぎて相対的に弱く感じた

中盤の家族と音楽の板挟みになるところ
本当にルビーが可哀想で辛かった
何かがうまくいくと、何かに歪みが生じる
現実でも本当によくあること

終盤の、コンサートの聾者側の視点、そしてその後の、お父さんが娘の歌を初めて感じるっていう場面がどうしたって感動する 一応、その前のラップのベースを感じることができるって言うのも、前知識として出てて、そのシーンの意味を飲み込みやすかった

最後のオーディションのシーンは、ある程度の感受性を持つ人間なら、誰だって感動するだろって思った
音楽は誰かに伝えたい気持ちを表現するもので、そのための手段であり、それ自体が目的ともなるもので
その手段を、この映画の重要なテーマの聾者の家族に向けた手話に落とし込んだら、感動するシーンになるに決まってる
ルビーにとっての、2大伝える手段を合わせて使って、最大限に伝えようとする姿に感動した

歌は、マイクとか電波とか、そう言う伝えるだけに特化したものじゃなくて、それ自体に魂が宿る、小説とか、映画とかと近い場所にあるものだなって改めて思った

こうやって感想を書いていると、全くうまく良さを伝えられないし、書いているとそこまで良かったのかどうかわからなくなってくる
感動する映画、泣ける映画って、なんとなく感情っていう、ある種非論理に訴えかける要素が大きいから、自分にはなんでいいのかを上手く伝えられないみたい
何が良かったかを淡々と書いても、全くその時の感情を残せないのは悲しいところですね
自分の力不足を猛烈に感じています
めちゃくちゃいい映画やと思ったのに…

以下、なんとなく覚えておきたいから書き留めておくこと
いいと思ったところ
①冒頭の漁のシーン
ルビーの送っている生活がとてもわかりやすく描かれていて、聾者の家族の中で彼女のいるポジションの重要度がわかるから
②1回めの合唱のクラスから逃げ出して、湖のほとりで歌うシーン
ルビーの繊細な部分がわかるシーン 
現実の、少し才能のある人間は、大体ここで話が終わる 
現実と映画(フィクション)の分岐点って捉えると、とても残酷というか、他人事じゃないシーンに思えて、まずここで一回泣いた
③お兄さんが酒場で喧嘩するシーン
聾者の立場の弱さが垣間見えるシーン
これ以外にも、お母さんが他の奥さんがたの笑っているのに戸惑っているシーンも、どうしてもディスアドがある聾者の生活の特徴を知れて良かった
④2回目の合唱部のシーン
音楽を描いてた 
文字通り音を楽しむ、これが音楽
自分が合唱部やった時にも、少しだけ感じ取れた感覚で、この先生のもとで自由に歌いたかったなって思った
音楽は強制も矯正もされるものであってはならないと思う
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