主人公には歌の才能があるが、両親を含む家族が障がいを持っており、そのため自分の思うような生活を送ることができない。
バイアスに捉われず考えるなら、この物語は家庭の事情をどう克服するかという話に尽きると思う。事情はどんな家庭にでもある。
しかし、これだけ理解者や協力者が周りにいて、なおかつ天賦の才能まであるというめちゃくちゃ恵まれた環境に、何を感じるべきなのかは非常に悩むところ。望み通りの現実を手にすることが幸福であると信じ、そんなシンデレラストーリーを求める人には最高のおとぎ話なのかもしれないが、私は思考停止に陥るようなどんよりとした気持ちに支配されてしまった。
家庭の事情と運命についてなら『As Dusk Falls』というゲームのほうが濃密であると思う。
