みちの

隔たる世界の2人のみちののネタバレレビュー・内容・結末

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

SF映画ではなく日常を描いた映画

タイムループモノだからSF映画と思い観たけど観終わるころには、タイムループ映画ではないことに気付かされる。本作の主人公は、白人警官に差別的に殺害され続けるタイムループに陥るけど、毎日、どこかの国で、同じことが起きていると主人公が体現している映画。SFの設定を社会風刺として作り替える構成に、表現が相応しくないけど感動した。
主に銃殺でタイムループが起きるけど、シチュエーションが違う。家で朝食をつくっているとき、家を出て駅に向かうとき、自転車の鍵を開けたとき、すれ違った人と挨拶をしたとき、横断歩道を渡るとき、映画では描かれていない日常でも、主人公は同じ被害に遭い続けている。それはエンドロールでも説明されていて、何度も言うようだけどタイムループで描いたのは、脱帽だし感銘を受けた。

それを主人公は色んな方法で抜け出そうとするけど、白人警官の意識が変わらないと平和は訪れない。セリフではあくまで最後までSF映画に徹してたけど、黒人側が意識を変えただけでは意味がないと言う残酷さ。それでも黒人は白人に仕返しをすることは選択しない。むなしい。
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