オーサムッなシュ

シン・仮面ライダーのオーサムッなシュのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.9
"さようならエヴァンゲリオン"シンエヴァ以上にこの言葉が似合う映画だった。もちろん良い意味ではない。仮面ライダーでエヴァをやろうという企画の意図みたいなものは感じるけど、仮面ライダーというコンテンツを使ってエヴァを超えてやるという気概はまったく感じられなかった。こんなこと言いたくないが「シンエヴァで全てやったんだから、観客の期待に応える作品なんてもう作らねーよ」と庵野監督に言われてるような気がした。庵野監督はキャラクターの立ち位置と自身の人生のシンクロをすることで虚実入り混じったカオス感を産み、シンプルなストーリーを高品質な人間ドラマのように魅せるという天才的な芸当をする監督だったと僕は思っていたのですが、自分の人生を作品に引用するという芸当が形骸化してしまっている。もはやエヴァをシン仮面ライダーやシンウルトラマンに引用しているという状態。しかもエヴァで面白いと思った要素はほとんど抜け落ちてました。エヴァを作った人に人生と仮面ライダーのシンクロを目指して作ってほしかったのです。エヴァと似た設定を用意した割にエヴァを越えられないモノマネみたいになってました。シンウルトラマン→シン仮面ライダーと見て気づきました。庵野監督はシンエヴァでシンジ君達と一緒に"さようならエヴァンゲリオン"してしまったんだなと。シンエヴァ公開当時以上にそれを実感してしまい悲しい気持ちです。今作で庵野監督はエヴァっぽいのにエヴァを超えられない仮面ライダーを作ってしまいました。エヴァとして考えても仮面ライダーとして考えても新しいとは思えなかったです。