社会のダストダス

シン・仮面ライダーの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.4
浜辺美波と電脳で繋がれたい

仮面ライダーは20年くらい前の竜騎を少し知ってるくらいで、ほぼ初心者と言っていい状態。思い入れ補正は特に挟まないので、一つの独立した新作としての鑑賞になる。今回は『シン・ゴジラ』と同様に庵野秀明が監督のようだけど、作風としては『シン・ウルトラマン』に近いように感じた。

もしかしてサプライズ要素かもしれないので詳しくは触れないけど、ウルトラマンのほうにも出てきた二人組の印象が強い。特に年上のほうはゴジラにも出ていたので3作連続で似たような性格の人物を演じている。多分この先ほかの『シン・〇〇』が作られてとしても、全部似たような役で出るのだろう。

今まで気にしたことが無かったが、柄本祐さんと森山未來さんの顔や雰囲気が結構似ており、森山さんが出ていることを知らなかったため、エンディングでクレジットを観るまで柄本さんが二役を演じていると思ってしまっていた。そのため仮面ライダー2号が出てきたときは、「緑川イチローの遺伝子情報を用いられたクローン人間に違いない…!」などと的外れな推測をするハメになった。

アクションシーンは思いのほか暗かったり寄りだったりと快適とは言えない部分も目立ったものの、冒頭から血しぶき飛び交うバイオレンスシーンが多めなのは驚いた。一部の怪人のCGは実写版デビルマンを思い出して「うっ、頭が!」となったが、ハチオーグや2号との戦いはパラパラ漫画みたいな動きに見えるのは逆に味があってよかったように思う。シン・ウルトラマンでも急に昭和を感じさせる描写が入ったが、なぜシン・ゴジラは「シェ―!」や放射熱線で空を飛んでくれなかったんだろうと急に残念な気持ちになってしまった。

前半は浜辺美波さんを愛でる映画としてとても目が楽しい。実は今回初めて見たのだけど、もっと妖精みたいな役ばっかりやってる人(偏見)だと思っていたので、庵野監督のヒロイン像を背負ったような語り口調は面白かった。池松壮亮さんは過去作と比較して最初「あれ、こんな演技だったっけ?」と思う部分もあったけど、徐々にそれが力を制御できていない本郷猛というキャラクターのイメージがついた。柄本祐さんは変人が多い人物群の中でも安定していて、後半はほとんどこの人がさらっていった。

原作をあまりよく知らないので比較はできないけど、今回もシン・シリーズ前2作同様、キャラクターの名前ぐらいしか知らない人たちが観てもそれなりに面白いように作られていると思う。ただ今回は『シン・ゴジラ』の内閣総辞職ビームや、『シン・ウルトラマン』の「私の好きな言葉です」星人みたいな名刺代わりのシーンが無かったようにも感じるので、そういう意味では少し寂しい鑑賞後感。