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そして、バトンは渡されたのギャスのレビュー・感想・評価

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
3.1
レアすぎるパターンの優しい人だけが出てきて、
奇跡すぎるパズルがはまり、
愛の伏線回収が見事に決まる、
心あたたまる愛のファンタジー。。?

とにかく心をあっためたい時に観るのにはちょうど良いのだとは思うが、引っかかる点も。
それがラストに来て、タイトルにもなっているので、せっかくの愛の奇跡の感動がかなり薄れてしまった。


ネタバレ
引っかかった点がクライマックスの最高の舞台として用意されている結婚式なのだが、
そもそも個人的に、①バージンロード(名前がキモい)を②父親(所有者?保護者?)がエスコートして③新郎に渡す(次の所有者?保護者?)という、女性に主体性のない(受け渡しのモノのような)あの"儀式"が嫌いだ。
2人で愛を誓うなどは良いと思うが(キリスト教を信仰しているかどうかも微妙だが、誓うことは重要で意味がある)、受け渡しのように思えるあの場面だけは意味が良くないと思っている。たかが形式だと思えばよかったのかもしれないが、この映画ではしっかりそこに"バトン"という言葉を使うことによって、彼女をモノのように思わせる、もしくは幸せにする役割の主体が男性であるような"場面"になってしまっている。
それまでのお話はうまくできていたので、タイトルがバトンでなければ、、クライマックスが結婚の儀式でなければ、、と最後に残念な気持ちが残った。
(例えばその辺ちゃんと考慮されているのがウエディングハイ)

あと、都合が良すぎる愛の奇跡としては、子どもへの執着のような、そして気まぐれな(に見えていた)愛が、最後の手紙一発で歪まず子どもに伝わったこと(怒りにはならなかったのはかなりの奇跡)、
ものすごく理解のあるシングルのお金持ちが見つかったこと、
執拗に父親になろうとした男性がひとつ屋根の下の血の繋がらない女子高生に絶対的に性欲の湧かない男性だったこと。
心温まる奇跡のおとぎ話として成立させるのに、どれも重要な要素だが、人間の愛と心のプラス方向の強さのみで構成されていることがやはりかなりの「ファンタジー」

虐待や育児放棄の事件の話が溢れるこの世の中で、このような奇跡の物語で癒されたい人たちがたくさんいると思う。だからこその高評価なのだろうが。
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