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シリアスマンのodyssのレビュー・感想・評価

シリアスマン(2009年製作の映画)
3.5
【カフカが分かる映画?】

アメリカで大学教授をしているユダヤ人の中年男が、次々と理不尽な目にあう、というお話です。

運の悪い奴というのはどこにでもいるわけですが、この映画の主人公もそう。運命の神、いや、ユダヤの神から次々と試練(?)を課されて四苦八苦。しかし重苦しさはなく、軽く笑いながら見られる映画になっています。

ちょっと注意したいのは、これがアメリカのユダヤ人社会を描く映画でもあることです。ここは日本人からすると物珍しく、なおかつやや分かりにくいところでしょう。パンフなどを読んで勉強した方がよさそう。

いや、ユダヤ人というとなんか特殊な世界みたいですけど、この映画で見る限り、結構いい加減だしテキトーなんですよ。ユダヤ人だって人間なんだ(?)、と納得。

と同時に、冒頭、イディッシュ語(東ヨーロッパでユダヤ人が使っていた言葉)を用いた寸劇が提示されます。これ、幽霊話のようでもあり、ナンセンス話のようでもあり、コントのようでもあり、なんかよく分からない。分からないけど、どこかおかしい・・・・ちょっとカフカを思わせるところがある。だから、この映画の主人公が出会う理不尽さも、それに似ているのかもしれない。この映画はカフカ理解につながるという意味で、貴重かも。あくまで「かも」ですけどね。
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