実在した修道女ベネデッタ・カルリーニはどのようにして修道院長になり何故投獄されたのか。
ペシアの街で生まれたベネデッタは奇跡を起こす少女と信じられていて6歳で修道院へ出家する。
ベネデッタは純粋無垢なまま成人を迎える。
しかし修道院に助けてほしいと逃げてきた若く美しい女性バルトロメアと出会ったことによりベネデッタの世界が変わり始める。
キリストに身も心も捧げたはずなのに女性に対しての恋や愛の感情を抱いてしまう。
どうしようもなくバルトロメアに惹かれ、その度に目の前にキリストが現れる。
それは彼女の心の中の葛藤か本性か。
欲望と本能がベネデッタを大胆にしていく。
キリストに愛されていると強く思い込み自分は特別だと信じ続ける彼女は自分自身を高みへと導いていく。
ベネデッタは選ばれしものなのか、それとも策略か。
信じるものは救われると言うけれど彼女の場合は神を信じているというよりも自分自身を強く信じているように見えた。
彼女の曖昧な気質さえも魅力的に見える作品に惹かれる。
修道女であってもキリストに選ばれた女性であってもひとりの女性に変わりはない。
慎ましく信心深い少女からひとりの女性として成長し底知れぬ欲望と力強さに出会う。
彼女のその才能や力を自分自身のために使ったのか、ベネデッタを信じる民のために祈ったのかは観ている私たちに委ねられている。