ろまらん

ベネデッタのろまらんのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.2
聖痕は好きな題材。アッシジのフランチェスコでもあったけど、聖人と呼ばれるような普通の人間ではない、生きる全てを信仰に捧げた人にはあり得るはず。ベネデッタもそう。奇跡譚も科学的に事実でないなんて重要じゃない。人が何かを信じて祈り続ければ、きっと何かが起こると思う。この世で起きなくても、神様は見てるから大丈夫と、わけのわからない信頼感あり。
もちろん宗教が絶対的な権力持ってた時代、大きな組織であった以上、俗人の私利私欲のための思惑に使われることもあったと思うが、その辺りも一面的でなく、とてもうまく表されてる。
ベッソンのジャンヌダルクが後半、牢内での神との問答で失速したのとは違う、始めから最後まで充実してるバーホーベンの力量に驚いた。老いて退屈になったり難解すぎたりする巨匠と呼ばれる監督も少なくない中、こんなにパワーのある、観客を考えたわかりやすくテンポの良い話の運びや演出に感心した。
性的な描写もイエスに守られたベネデッタに迷いがなくなって、より正直に人間として自然になったことを表してると思う。
監督の考えを形にする演技陣、主演女優エフィラの圧倒的な力とバルトロメア役パタキアの伸びやかさ、そしてランプリングの円熟。素晴らしい。
監督さんオランダに帰ったのかな、ヨーロッパの文化の厚みを伝える映像も美しい。
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