がぶりえる

ベネデッタのがぶりえるのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.7
お年を召されてもこんなに力強い映画を撮ってくれるバーホーベンの巨匠っぶりたるや。単なる女性映画だと思って見たらフルカウンターを食らう。とある修道女の超パワフルな痛快逆転劇に心奪われる。
ベネデッタは女性としてや修道女としてではなく一人の人間としてとても賢くて強くて凛々しいところが魅力的。自分を信じ、信念を貫き通すためにあらゆる手段を使って人々の心を操っていく様が本当に爽快だし格好良すぎる。今よりも男色が強かった当時のヨーロッパの宗教の世界で一人の女性が知性を使ってじわじわと権力を握っていき、あるべき自分の姿を勝ち取った歴史があったなんて!ありのままの自分を勝ち取るために、権力に屈することなく自分を信じて突き進むことの大切さを教えてくれる。
近年流行りの女性映画やLGBT映画は社会的弱者の立場にある人に寄り添った視点で描き、観客の潜在意識の中にある問題意識を浮き彫りにさせるものが多いが、本作のベネデッタは一人の女性として泥臭く奮闘するありのままの姿を描いているところが良かったと思う。弱者に同情させるのではなく、弱者を応援したくさせる映画だったと思う。尚且つエンタメとしてとても面白い。ポールバーホーベンの妙だ。素晴らしい!!