【第70回ベルリン映画祭 フォーラム部門出品作】
長編二作目となるスペインの監督による作品。
ガリシアという沿岸部の村では何故か人々が硬直化している。それはどうやら船乗りのルビオが起こした行為によるものらしいが彼は行方不明になっている。その村に三人の魔女がやってきて…
とまあこんな感じの話。どうやらガリシアの伝説が大きく関係しているらしい。監督のインタビューを読む限りだと、当初は難破した船員たちの話にしようとしていたが、ガリシアにルビオの伝説というのが元々あり、それを基にしようも決めたという。魔女たちもメイガスという名でガリシアの伝説に登場するという。
セリフは少ないのだがかなり観念的で理解が難しい。ルビオと魔女はどういう関係なのか。ルビオに関して村人たちはそれぞれ違うことを言う。「彼は正しい」という者もいれば、「彼はモンスターだ」という者もいる。
それはもしかするとルビオはキリストなのかもしれないと思った。存命中は崇拝する人もいたし迫害する人もいた。ルビオの復活はキリストの復活?
三人の魔女は『マクベス』を連想させるけど、もしかすると東方三博士かもしれない。はたまたキリスト復活に立ち会った女性たちか?
難解でいかにもベルリン映画祭らしい。映像美は素晴らしく、自然や巨大な建物の中に人がぽつんといたり、言わずもがな終盤の赤い月だったりとにかく美しい。僕は個人的に赤が印象的に使われている作品が好きなのでそれだけで高評価したくなってしまう。
あまりに観念的なのは気になるが、この監督の今後は追ってみたいと思わせる純然たるアート映画だった。