蜘蛛マン

こちらあみ子の蜘蛛マンのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.0
原作者今村夏子さんの小説が大好きで、特にこの「こちらあみ子」はデビュー作にして最高傑作だと思ってます。
まさかの映画化と聞いて期待半分不安半分で観に行ったけれど、再現度が高く、原作が大切にしている(と自分が感じるところ)を監督もまた大切にしていると感じた。

社会性と不協和音を奏でる自然・無垢・世界。当然のごとく、後者は社会に排斥される。それでも、社会の海で息苦しくもがき続ける我々観客は、あみ子が象徴する残酷なまでの自然や無垢に、一抹の憧れを抱かずにはいられない。

そもそもお話自体が素晴らしいこともあり、映画も十分に魅力的だったけど、視覚情報で多くが伝わる分、言葉一つ一つの貫通力が相対的に弱く感じたのも事実。
原作の持つ言葉の力を、大きな余白を埋める想像力とともに楽しんだ方が、この作品を味わい深く楽しめるように思えた。
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