しい茸

こちらあみ子のしい茸のレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
3.8
2023-07

結構ベビーな一作。原作はクリップ済みで、未読です。

地方の小学校という狭い社会の中で、1人青色のランドセルを背負ったあみ子。学校では裸足で歩き回り、鼻歌を歌う。

発達障害の一言で片付けられそうだが、あみ子に振り回される周りと、無邪気なあみ子本人は徐々に乖離していく。
応答せよ、と呼びかけても誰も周りは答えてはくれず、クサイとか、キモイとか、そんな言葉であしらわれてしまうのだ。

あみ子をさん付けで呼ぶお母さんには、大きな黒子があって、それにばかり気を取られてしまう。
10円ハゲのあるお兄ちゃんは、学校からいなくなり、いつの間にか家からもいなくなった。
お父さんはいつも優しいが、時々話を聞いていないのか反応が悪いし、お兄ちゃんがタバコを吸っていてもロクに注意しない。

そんなある日、いつからか、ベランダから変な音が聞こえ始めるが、お化けがいるのかもしれない。「おばけなんてないさ」と大声で歌えば、いなくなるかもしれない。

お母さんは入院しているのか?
のりくんの苗字って?
私の家に生まれたのは、弟か?

落ち着かない毎日の中で、あみ子が唯一心を許せるのはのりくんで、
のりくんから黙っておけと言われれば、何をされても、言うことはない。大丈夫だ。

私はおばあちゃんちで、静かに暮らす。
おばけたちには手を振ってさよならしたから、もう大丈夫。





ネタバレあり








あみ子は彼女なりの弔いの気持ちでお墓を作ったのに、お母さんがあんなに慟哭するのは少し違和感がある。
それも他人だからということなのか。一緒に原っぱでクローバーを見つけに行ったピクニックのシーンはあんなに落ち着いていたのに。辛くなった。
そしてあんなにお母さんは一気に参るだろうか。死産はとても辛いとは思うが、一気に家庭崩壊していくさまは少し非現実に感じた。
けど兄だけはあみ子に応答して、助けてくれたね。

お化けのうち外国人はあんなふうに手招きしないと思ったが笑(英語圏の人は指を上にして呼ぶよね)
あそこで彼らの元に歩いてっちゃうかと思ったので踏みとどまってくれて良かった。
最後まで明るいあみ子。
大丈夫!そんなに世の中悪くないよと言いたい。元気でね。
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