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こちらあみ子のtigerpantsのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.9
「ちょっと風変わりな女の子」と惹句にはあるけれど…まあ、そうでも言い繕わないと世間体がアレな少女・あみ子の数年間を描く劇映画(今村夏子の原作は未読)。

「年相応に他人の気持ちを察せられない」という(発達障害を連想させる)言行で周囲の人々を困惑させ、いつの間にか埋めがたい溝に囲まれてしまうあみ子。

でも(非行青年となって家を出てしまう)兄貴も、口は悪いが親身になってくれる坊主頭の同級生も…何ならば、義母や父親だって(扱いが難しい)彼女に、可能な限り寄り添おうと努めてくれたのは事実。

主人公が成長したり、周囲と当人が協調したり…みたいな安穏とした結末に向かわないせいか、存外に評価が分かれる本作。でも、ここまで精緻な映像表現には、なかなかお目にかかれない。音楽やセリフ、画面カットや役者の表情など、細部まで味わいつくせる傑作だった。

じつは(癇癪持ちの少女が施設をたらい回しにされ、ついには見捨てられかける)ドイツ映画『システム・クラッシャー』の試写を観た後、連想的にこちらを配信で観たのだけれど、凄すぎた。

安易に他人には勧められないけど、この5年間ぐらいのベスト・ムービーかもしれない…😲
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