スベン

復讐者たちのスベンのレビュー・感想・評価

復讐者たち(2020年製作の映画)
3.5
戦時中に見て見ぬふりをした民間人もナチスと同罪。そう考えるユダヤ人組織「ナカム」(ヘブライ語で復讐者を意味する)
彼らが計画したドイツ全土を巻き込む復讐計画。
実話ベースというこの計画は本作で初めて知った。

「あなたならどうする?」という主人公の問いかけから始まる冒頭。
アウシュビッツを生き延びたものの、家族を失い、全てを失ったも同然な主人公。げっそりとした表情と、暗い目が忘れられない。
イギリス軍のユダヤ旅団に加入した主人公が、監視よりも収容者の方が数が多かったはず、と問われる。「どうして収容所で抵抗しなかった?連中は家族の命を奪ったのに。無抵抗か?反撃は?」と更に問い詰められる。
きっと主人公を始め、収容所にいた人たちは何度も考えたはず。この言葉を簡単に口にできるのは収容所その場所にいなかったからこそだと思う。後のハガナーに繋がる組織でもある同胞から問われるのはかなり残酷で、そしてやるせない。

復讐に身を投じていく主人公が最終的に選んだ道。ラストの台詞と表情が冒頭の問いかけと相俟って印象的。
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