幽斎

ザ・テスト 護身術の幽斎のレビュー・感想・評価

ザ・テスト 護身術(2017年製作の映画)
3.6
本作は劇場映画では無く、TVムービー。北米9500万世帯が視聴するペーパービュー局「Lifetime」最大の特徴は主婦層にターゲットを絞って放送、白人以外を主人公にキャスティングしないので、LGBTの潮流に反するが一切お構いなし。有料なので嫌なら見るな、を徹底してる。

ライフタイム下請けのMaple Island製作。スペシャル・ムービー枠は、Amazonを中心に海外へも幅広くセールス。同局のムービーは100分が放送枠で、本作も92分と時間的にサクッと観れる。テイストは私の親世代「火曜サスペンス」に近い(多分)。監督や主役も映画ではC級ばかり。ライフタイムは想像の枠を超えないのがお約束。お子様も見るのでエロもグロも無い。主人公は主婦かバツイチ。過激な描写が出来ない制約が有る為、金太郎飴的な既視感の強い作品が垂れ流される。

原題「Fatal Defense」アメリカ英語で「危険な防衛」。他のライフタイムと違うのは、私の様なスリラー専門でも油断してると、予想しない方向からボールが飛んでくる。ミステリーの定石を踏まず、頭がティファールで沸いてるとしか思えない展開に、頭痛にバファリンが要るかも(笑)。Filmarksのアベレージが低いのは御尤も。しかし、多分だけどアマブラ史上最高に変種のスリラー。

Ashley Scott、44歳はライフタイムの主演としてはメジャーな部類。「イントゥ・ザ・ブルー」「キングダム/見えざる敵」ハリウッド作品にも主演。最近ではドラマのゲスト主演が多いが、特に何が良い女優でも無い。物語は一人娘と暮らすシングルマザー(車はスウェーデンのボルボ、経済的な自立を意味する)。強盗(車がヒュンダイ。アメリカでは韓国車は最下層を意味する)に襲われ「護身術を習えば」とアドバイスされ、セクシー軍曹(車はフォルクスワーゲン、中間層)に習う度に・・・ザ・凡俗の極み。

本作はアンユージュアルと言う名が相応しい。右から左に流れるような常識外の展開に頭が追い付かずバファリンに加えてパンシロンも必要かも(笑)。問題なのは動機が護身からエロに早々と切り替わる事。以前、友人と京都の祇園で有名な店を出た後、ガタイのいい輩に絡まれたが、その友人は平安高校の柔道部出身で、路上での一本背負いは迫力満点。警察を呼んで後は任せたが、主人公も妻を亡くしたセクシー軍曹と暮らせば、防犯対策は万全だと誰もが思う。因みに私は茶道部でした。

その後の展開はドン引きの連続で、スリラーなのに抱腹絶倒、ユニークな着地の仕方も強烈で面白い。私も100通り以上のサイコパスを見たが、新種を発見できるのは。100本に1本の確率。オチを見れば邦題が意外と的を得てる事に気付く。レビューで期待を持たれた方は、くれぐれも自己責任でお願いします(笑)。

Amazonプライム発、過去最高な「珍」スリラー。低クオリティを承知でご覧頂きたい。
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