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スティルウォーターのmitoのレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.8
2022年4本目。
留学先であるフランスのマルセイユで殺人罪で有罪となった娘を訪ねるべく渡仏するアメリカ人の労働者ビル。
面会の場で娘はビルに弁護士宛の手紙を託す。そこには実証はされていないが、彼女の無実の証拠となり得る情報が書かれていた…。

予告編を観ていると、全く雰囲気の違う内容で驚愕するタイプの作品。
まあ、予告編で想像する、貧困層やマフィアの闇が渦巻くサスペンスだったら凡用な映画になっていた可能性が高いし、寧ろ嬉しいサプライズだった。

本作はトランプをネタにしたり、フランスのアラブ系差別などを描いたりと現代社会の問題提起もしているが、
どちらかというと、信仰心も含む人の信じる力を強調するような内容になっていると感じた。
主人公のビルが信心深く、要所で神に祈りを捧げる描写が多かったり。

人を信じるという意味では、終盤の前提が揺らぐ展開は昨年の由宇子の天秤にも通じるし、
信仰心を試す試練という点ではアダムズアップルのようなヨブ記を題材にした作品に通じる。

マット・デイモンの若干単細胞ながらも無骨に日々を生きている労働者演技も素晴らしいし、マルセイユで出会う女の子を演じる子役も良い味出してる。

予告編にミスリードされたが、結果、濃厚な人間ドラマが観れて寧ろ満足な作品だった。
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