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名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)のJeffreyのレビュー・感想・評価

3.8
「名探偵コナン 漆黒の追跡者」

本作は2009年に公開された作品で劇場版13作目にあたり、天国へのカウントダウンぶりに黒の組織が関わる作品である。これは高校3年生の時に劇場で見たことを覚えている。およそ8年ぶりの黒の組織を巨大スクリーンで見れた幸せはあったものの、天国へのカウントダウンを超えるほどのものではないけれども、今まで駄作が続いてきた分、これは久々の良作ではあった。もちろん傑作とまでは言えないが。この作品のチェイサーと言うタイトルはなかなかダジャレが効いていて良かったと思う。チェイサー=追跡者ではなく=水(お酒)と言う意味合いがあるのだろう。この映画はやはりファンにとってテンションが上がるのが、劇場版で初めてベルモットがスクリーンに現れたことだ。

それととっくの昔に死んでいるピスコまでが出てくるのだから当時驚かされた。そしてキャンティ、コルンとスナイパーも登場する。それから迷宮のクロスロードでシマリスを友達にしていた風変わりな顔立ちの綾小路文麿が出てきたのは個人的には良かった。それから服部平次なども出ていてわりかし豪華キャストだ。この時代はダイゴがすごく人気で声優を務めていたと思う。でもどうしても声優をゲスト出演させてしまうと声が浮いてしまうのが気になるのだよ。この劇場版は毛利小五郎の声優を長年ずっと務めてきた神谷 明氏が後に降板してしまったため、2代目毛利小五郎の声優に次回作からなっている。倉木麻衣「PUZZLE」が今回の作品のエンディング曲なのだが、倉木麻衣はalwaysと言う曲を黒の組織が出た天国へのカウントダウンの時にも歌っている。この作品の見所は東京タワーでの〇〇とコナンの対決、黒の組織のジンを驚かせる場面だろう。あと七夕の要素を含んでいるところだ。

正直アイリッシュはこの劇場オリジナルキャラクターだけの枠に収めて欲しくなかった。結構魅力的なキャラクターだったのになぁと残念である。この劇場版の画期的なところは警察内部に黒のスパイがいるのではないかと言う設定と、黒の組織とコナンの対決が全面的に描かれており、クライマックスのアクションは文句なしにハラハラドキドキもんだった。それにほぼオールキャストで出演させると色々と大変なことになり、不安定でツッコミどころ満載になりがちだが、そこも不自然にならず自然にそれぞれの持ち場を全うしていたのもかなり良かったと思う。探偵たちの鎮魂歌以上に抜群だった。それに推理もきちんとしていたし丁寧に作られていたと思う。きっと駄作が続いており、ここにきて挽回しようと思ったのか、このタイミングで黒の組織を登場させたのは吉か凶と出るか…では吉を引いたのだろう。


この作品はオープニングから笑わしてくれる。少年探偵団率いるアガサ博士やコナンたちが森の中でカブトムシを捕まえようとしているのだが、そこでアガサ博士が唐揚げ弁当を食べたと言ってしまい、灰原哀がこっそりとメタボってるのねと威嚇するところが笑える。まじで嫁さんだわ…。それから速攻で恒例の博士のなぞなぞが始まる。それから群馬刑部のへっぽこ刑事も出ているのが個人的には喜ばしいというか微笑ましい。あと大和刑事も出てるのは驚きだった。それから松本清永刑事も出ているが、彼確か声優さんが死去してこの後のコナンの作品に出てなかったような気がする。この映画コナンが粘土作りしているシーンが出てくるのだが、あまりにもシュールすぎていたたまれなかった。

そして俺の記憶違いじゃなければ、テレビ版のスペシャルで、ベルモット(仮装パーティーの事件)とコナンが初めて対峙したときに、ベルモットがジンに工藤新一のことを話したのと、この作品でアイリッシュがジンに工藤新一のことを尋ねたの合わせて、この時点でトータル2回だけだと思う。そして佐藤刑事がかなりいい線の推理をしていて驚かされる場面もある。瞳の中の暗殺者を思い出してしまう。そしていよいよクライマックスでアイリッシュとコナンが対決するところで、ピスコの件になるのはしびれる。ここでアイリッシュとピスコの関係がわかるのは驚きである。そんで毛利蘭VSアイリッシュになるのもなかなかいい演出だ。ここでなにげにアイリッシュがベルモットが惚れるわけだ!とコナンに言うセリフあるのだが、初めてコナンがベルモットに好かれていると言うことを認識させた画期的なシーンである。
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