グレーの山猫

シンデレラのグレーの山猫のレビュー・感想・評価

シンデレラ(2021年製作の映画)
1.2
⚠️とても個人的な感想です。不快にさせてしまったら申し訳ないです。そしてとても読みにくいです。

王子の妹を除くキャラクターに好感・共感出来なかったです。基本的に今までどの映画も、超笑える、街の風景、服のデザイン、台詞、などどこかしら「好き!!」と思って見てたのでこんなに低評価を書かねばと衝動に駆られたのは初めてです。
訳の分からない演出がたっぷりで、こんなにも共感できない映画は初めてでびっくりしました。


まず、キャラクターの性格や信念?がブレブレで「どういうこと?!」と終始混乱しました。どのキャラクターも感情が少し高まる度に歌いだして、その割には歌詞は抽象的なものが多く心情を把握出来ない、サビを何度も繰り返すだけで「まだ歌うのか?ストーリーを進めてくれ」とイライラします。(歌詞を通して展開が進むのがミュージカル映画では無いでしょうか?)役者の方たち皆さん歌もダンスもとても綺麗な声で素敵なのに、歌に入るタイミングと歌の長さとで不快に思えてきます。歌う前の気持ちと歌い出しの歌詞が噛み合ってなかったり(初めのシンデレラの地下室のシーンなど)、映画初めの歌詞と終わりに歌う歌詞が全く逆のメッセージを持っていたり(シンデレラが幸せを掴む前は「100万分の1になる」と涙を流しながら歌い、ドレスを作る夢と人生のパートナーを得て所謂勝ち組になってからは「人生に敗者などいない」と歌っていて、見事な手のひら返し!!)どの感情も自分本位で自己満足で酔っているとしか思えませんでした。

次にあらゆる設定が謎でした。マジでシーモンスターの描写は何だったのでしょうか?!国王の「シーモンスターから国を守るため云々」の台詞で「おお、そんなのが出るのか?!じゃあ王子とシンデレラはシーモンスターと戦ってなんやかんやで絆を深めて愛まで辿り着くのか?!」と思ったら終ぞシーモンスターには触れぬまま映画は終わり拍子抜けしました。(船移動の時代設定でシーモンスターいるのに世界中の未婚の姫集めるって結構酷なことするなこの国……)
これは突っ込んでいいのか謎なのですが、あの街の風景、時代設定で流れる音楽がポップスばかりの機械音満載なのは違和感が凄いなと思いました。国王から国民へのお知らせもマーチングバンドを引連れた男性がラップで語り出してて普通に喋ってくれと思いました。これなら舞踏会もポップスが流れて激しく踊り出すのかな?と思ったら上品な演奏が流れて……かと思いきやチェロ?の破壊演出……謎でした。


キャラクターに好感が持てなかった!!
シンデレラの非行が王子の目に止まったようですが、いくらなんでもきっかけが「ふーんおもしれぇ女」過ぎて寒かったです。

国王の前でわざわざ像に乗る度胸があるだけでそこに何か目的があった訳では無いことにびっくりしました。像に乗って「私の素敵なドレスを見てー!」というのかと思ったら、ただ見えないから乗っただけで挙句国王へ文句を言う考え無しの恥知らずな女の子だなと感じました。そもそもシンデレラのドレスのデザインは個人的に色合いシルエット上品さに欠けていて、「これで自分の店を持つのは厳しいんじゃ…?」と懸念がありました。
王子の妹が来たドレスに関してはデザイン性は言うまでもなく、母の形見のブローチを付けて売るなんて流石にありえないと思いました。舞踏会へ行くために作ったピンクのドレスも街の布屋さんでいちばん上等なものを使った割に安っぽくて街の限界が垣間見えました。これに関しては、「まあでも、このドレスは継母達に汚され壊されるメインのドレスじゃないしそんなもんなのかな?」と思い目を瞑りました。
しかし!!フェアリーゴットマザーに魔法で仕立ててもらったドレスイマイチ過ぎる!!舞踏会で踊ることを考えるとあのスカートの形では映える訳がありません!!実際、ダンスシーンはエド・シーランのゆったりな曲が流れたのにそれに合わせてドレスの裾は綺麗に揺れてくれませんでした……あと胸のところがパカパカでヒロインのドレスなんだからもっとフィットさせてよ!と思いました。そして、シンデレラと言えばガラスの靴ですが、遠目でも靴が安っぽ過ぎてガッカリしました。しかも逃げるシーンで投げてるし!!丁寧に扱って!!本当に何でこんな手抜きなのにシンデレラの設定にしたの?と絶望。シンデレラ自身も「この靴歩きやすくならないの?」と文句を言ってて、感謝の姿勢も品もなくて悲しかったです。(優しい心の持ち主だからフェアリーゴットマザーに見初められて助けてもらったんじゃないの?!)
今作でフェアリーゴットマザーは羽化した蝶ですが、そもそもあのサナギは好奇心旺盛なシンデレラが勝手に地下室に連れてきた助けたのでもなんでもなく、連れてきたから面倒見てただけでは?恩も何も無いのでは?と思ったりもしました。本当にシンデレラに関しては随所でイライラしてしまって書ききれないのでここらで終えます。

王子も酷かったです。色んなシーンを通して不真面目で世間を舐めてるガキな印象が強くて、その上王子の初めの歌で「こんなに僕は頑張ってるのに」と嘆いていてそれが痛くて好感度ぶち下がりでした。シンデレラにプロポーズするシーンの台詞も残念すぎて少しもキュンキュン出来なかったです。本当の自分を見てくれる人を探していると願っているようですが、シンデレラへプロポーズする際には「僕と夫婦になれば王室で不自由なく暮らせる」などと自分の中身を売れよバカタレ!!と矛盾キャラ暴走で情けなさすぎて笑えました。そしてシンデレラ以外の女性(はるばるやってきた他国の姫様)への配慮が欠けていて失望でした。ありえなさ過ぎます。あくまでも!!王子の婚約者を決める舞踏会なのに自分の事ばかりで、集まった女性たちの前でいきなりの「僕には心に決めた人がいる」宣言……じゃあ何故私たち呼ばれたのよ?!と姫たちはブチ切れていいし、シンデレラとの婚約が決まった訳でもないのにそんな宣言して自分の評判下げるだけで後のこと考えていないの馬鹿丸出し!!恥を知れ!!舞踏会会場は割と暗めだったのに王子の真っ黒の装いが映える訳なくて……耳のピアスさえも不誠実の象徴に見える始末でした。

継母もキャラブレブレだったなと思います。最後の味方なのよ?演出いらなかったです。作品には圧倒的悪役(悪役には悪役の揺るがない正義がある)が必要でそれがストーリーを深くしているんだなとしみじみ感じました。継母中途半端すぎる!!!!


全体を通して薄っぺらいなと思いました。この尺でこれが真実の愛は薄すぎる!!多分多様性を根に色んなことを伝えたかったのだと思うのですが、メッセージを欲張りすぎてて伝わるものが残らなかった感じです。最後に一緒に鑑賞してた姉の一言がツボなので紹介します。「現実的なのが売りみたいだけど、この小娘の作ったダサいドレスで生計立てていけると思ってるのかな?」
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