岩嵜修平

前科者の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
3.6
保護司という、犯罪者の最後の砦が、公務員とは言えボランティアによって担われてるという事実に驚かされたドラマ版から、漫画原作にも無い、主人公が保護司になった直接的なきっかけまで描いた本作。"映画"にするために大きな事件を扱い過ぎた面もあるが、凡ゆる人が眼差すべき日本の現実。

森田剛×若葉竜也というヒメアノ〜ル×葛城事件によるイメージ(本作では、また違った名演!)を活かしてミスリードを誘いつつ、事件の真相を暴く過程に、公的扶助の不手際や限界を見せるやり方は、昨年の『護られなかった者たちへ』を想起するが、本作においては「公」側の背景が描かれないのが何とも。

岸善幸監督らしさとも言えようが、言葉で語らせ過ぎな感じもするし、スローモーションや細かいカット切り、岩代太郎のいかにもな音楽が鬱陶しく感じるシーンも多々あったが、ドラマと併せて有村架純、石橋静河、大東駿介、古川琴音共に今までに見たことがない演技で、それを引き出せただけで意義深い。
岩嵜修平

岩嵜修平