キモサベ

前科者のキモサベのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
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知っていましたよ “保護司”が罪を犯した人の更生を手助けする役割を担っている人だってことぐらい
ただ、これは自分が悪いのですが、『どこか“物静か”に“人を諭す”』みたいな?
でもこれって、これまで観てきた映画やドラマがいけないんですよ、きっと
どこかそういったイメージを作り上げちゃっているのでしょうね

すみません、冒頭から
だって、いきなり人んちの窓ガラス叩き割って、明らかに自分より年上の人間に意見する(・・・というか、キレてる)有村架純の保護司に引いちゃったものですから

その有村架純、これからの日本映画界を背負って立つ女優さんと確信している自分です
そんな彼女に、いきなりキツいタイトルの作品だったもので・・・「彼女、大丈夫かなぁ?」 心配で鑑賞することとなった次第です

本題です
本業そっちのけで“更生”とひたすら向き合う主人公
まず思ったのが、コンビニ務め(・・・が、悪いと言ってるのではありませんよ、決して)の女が、なぜここまでして?・・・です
無報酬の仕事(劇中でも触れられてました)を・・・そっちの方がよっぽど気になっちゃいました

と、そんな疑問を抱えつつ、
交番襲撃、拳銃強奪・・・そして殺人事件へ
ここから刑事ドラマの様相を呈したサスペンスへと物語は一転します

どこかテレビの2時間ドラマだな、と思ったのですが、観終わって調べると元は連続ドラマだったのですね

感想としては、人間ドラマとして面白かったです・・・が、それ以上にどこか“哲学的”で答えのない問題を突き付けられた気がしましたです、はい
すなわち、「人が人を“理解”するって何よ?」・・・です

例えば、佳代(有村)が真司(磯村勇斗)をどこまで理解していたのか?
別れ別れになった兄の工藤は(森田剛)は、弟の実(若葉竜也)をどこまで理解していたのか?
あるいは、銃の犠牲となった被害者たちが、その職務の中で関わりあった人をどこまで理解していたのか?
そしてもちろん、保護司の佳代自身が、担当する保護観察対象者をどこまで理解していたのか?
・・・などなどです
お互いがハッピー・ハッピーの関係ならまだしも、相手が弱い立場だったり、罪や悩みを抱えていたり、そういったとき、人はどこまで相手を信じ、理解してあげられるのか?・・・難しく、とても深い問題です

すみません、偉そうなこと言って(書いて)
決して、保護司を否定するものではありませんのでお許しを

結論
でも、そういった意味で一番の“理解者”はコンビニの店長さんでした・・・大人だっ!
キモサベ

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