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ザ・ミスフィッツのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ミスフィッツ(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

極悪人から大金を盗み、恵まれない人々に分け与えることがモットーの犯罪プロ集団「ミスフィッツ」。次に彼らが狙うのは、テロリストの資金源となっている大量の金塊で、中東の砂漠にある厳重警備の私設刑務所に隠されていた…。

「ダイ・ハード2」「クリフハンガー」などヒット作品で有名なレニー・ハーリン監督作品。
我が国の「ネズミ小僧」のような正義の犯罪プロ集団の活躍を軽妙に描くクライムコメディの佳作である。

彼らは、困難な任務に刑務所長と因縁の深い一匹狼の盗みのプロ、リチャード・ペイスをチームに引き入れる。
テロリストに資金が渡る前に金塊を強奪すべく、彼らは作戦を開始する。

作戦を立てる頭脳を持つ者、金庫破りのプロ、爆弾に精通する者、変装の名人でもある詐欺師、色気と格闘技を武器にする者と、それぞれ違ったスキルを持つ彼らが協力して金塊の隠し場所の施設刑務所に潜入するのは、「ルパン3世」的な軽いノリ。
ポリコレを意識した多彩な人種と年齢で構成されたチームが今どきだ。

カッコいいスポーツカーや豪華なホテルなど、ドバイロケは洒落た雰囲気満点。
オイルマネーに溢れた金持ちの国でどんな盗みをするのかとワクワクする。
ベガスを舞台とした「オーシャンズ11」シリーズを思い起こさせる雰囲気だ。

そしてこの盗みの目的が、何と慈善というのが面白い。
テロリストから資金を盗み、その活動を妨害するというのだ。
つまりどんなに危険でも報酬はゼロで、金塊は寄付するというから何とも奇特なことである。
ペイスは断ろうとするが、ユニセフに勤める娘のたっての願いで計画に参加する。

元ボンド俳優ピアース・ブロスナンが女たらしのイメージを利用して、スマートだが軽薄なペイスのキャラを好演。
最後に金塊を全部横取りするどんでん返しを期待してしまう。

見どころは、私設刑務所の詐欺師を使っての侵入方法、金塊の運び方法。
巨大なオーブンに人が入って侵入し、爆破で金庫を破る。
幾重にも囮を準備して、見事刑務所を脱出する展開はとてもユニーク。
さらに、金塊の運送で追われた場合の防御策と、刑務所長がテロリストの親玉に罰せられるトラップも見事。
笑いを交えたチームでの作戦遂行は「ミッション・インポッシブル」のノリだ。

ラストに金塊と共に姿を消すペイス。
焦る娘の前に金塊と共に現れるエンディングも粋である。

防犯設備が日々進化を遂げる現代。
冒頭で銀行強盗がモノクロのコマ送り映像で映し出されるように、現代で大胆不敵な泥棒なんて、もはやファンタジーですよ、と割り切った作品。
ならば、あり得ない展開で笑って下さいと、コメディに振り切っているのが潔くて好感が持てる。

泥棒が無報酬の慈善事業という設定、ろくに調べられられずに刑務所に侵入する手口、大音量で音楽をかけて踊りながら爆破作業する金庫破り、金塊を溶かして別の形にして運び出す運搬方法、一国の王子を騙る詐欺師が本当に王子で外交特権を使って脱出など、「ありえない」ご都合主義の連続。
しかし、コメディだからと割り切れば、笑って許せる。
個人的に最も不満だったのは、敵となる刑務所長役に性格俳優のティム・ロスを配していながら、大きな見せ場がなかったこと。

内容としてはB級とはいえ、尺も短く、適度なハラハラもあり、何も考えずに気楽に娯楽として見るには良い作品。
愛すべきB級作品である。
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