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ディア・エヴァン・ハンセンのShinMakitaのレビュー・感想・評価

3.8
高校生のエヴァン・ハンセンは社交不安症でセラピーも受けている。学校では目立たず、誰とも会話せず、友達と呼べる存在もなく、ただひたすら孤独な日々を送っていた。新学期が始まり、休み中に怪我した左手にギプスを嵌めて登校したエヴァンだったが、誰もラクガキを描いてくれることはない。だが、セラピーの宿題で「親愛なるエヴァンへ」から始まる自分宛の手紙を書いていると、学年で孤立しているコナーが「友達のフリな」とギプスに名前を書いてくれた。コナーは粗暴な薬物中毒の生徒で、エヴァンは口もきいたことはない。プリントアウトされた「手紙」を手に取ったコナーは、妹ゾーイに言及した文章に激昂し、それを奪い取って立ち去ってしまう。気の弱いエヴァンは、返してくれと強く言うことはできなかった。翌日、校長室に呼ばれたエヴァンは、コナーの両親と対面する。そこで、コナーが昨夜自殺したことを聞かされた。遺体のポケットに入っていた「手紙」をみた両親は、エヴァンがコナーの親友だったと勘違いして感謝を伝えてくる。この勘違いに水を差せないエヴァンは、コナーと親友だったフリを続けてしまうのだが…

「ディア・エヴァン・ハンセン」

以下、ネタバレイエムは唄えない、今夜は。


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ブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品。以前「インザハイツ」の時に書いた「俺的な最高ミュージカルの条件」である〈キラーチューンの存在〉と〈物語における闇・負の存在〉が完璧な上、物語が深く、普遍的でありながら現代的なテーマということで、言うこと無しの傑作。以上。観ろ!


ということで、何も俺がグダグダ書くことは無いんだけど…

音楽については多分誰も悪くは言わないでしょう。キラーチューンである「You Will Be Found」は、もはやサビで涙腺刺激されるほど刷り込まれたし、他にも良い曲が目一杯詰まってます。ストーリー的には世界が小さく大掛かりでもないし、正直明るさも無いんだけど、人種差別やLGBTの陰に追いやられていた最も身近な問題で世界の誰もが感じている「孤独・孤立」をテーマに起用しているのが画期的。この着想・主人公造形が、ミュージカルにしては斬新だと思う。ミュージカルだからこそ胸に響いたり画面に引き込まれたりという演出・展開も多かったなと。ミュージカルって、元気や希望を押し付けてくる圧が強くて、苦手な分野なんですが、これは別格。歌もストーリーも、孤独な我々に寄り添ってくれるイメージですよ。俺は気持ちよく泣けたし、悪い奴が1人もいない映画に偽善しか感じないヒネた俺を感動させてくれたってことで、最高の賛辞を惜しみません。

唯一の文句は、公開時期だな。もう今年のベスト20を決めたあとで、こーゆー破壊的な作品を上映しないでほしい。ランキングいじるの大変だから、本作は別格枠にします^_^
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