ミュージカルらしいという以外は予備知識なしで観たので、主人公のいきなりの歌唱に圧倒されたが、ブロードウェイ公演で主演を務めた実力は十分伝わった。たとえ２０代でも、リック・モラニス似の風貌が主人公のキャラクターを端的に表している気がして、徐々に違和感もなくなった。
”誤解から生まれた状況のせいで、主人公が嘘を重ねる破目になる”という、コメディドラマの定型を、この映画はシリアスさを包む苦いクリームにしているが、（エヴァンゲリオンを降りた碇シンジのように）SNSの偽りの自分から降りたエヴァン・ハンセンは、現実の自分自身と向き合えたのか。あと何回か観直さないと、もう若くもない私は、本当には胸落ちしないかな。
ほんと、いまの若者たちは大変だよね。いや、実は大人も同じかも。
