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ディア・エヴァン・ハンセンのeleanorのレビュー・感想・評価

5.0
友達が1人もいない、うつ病を抱える高校生のエヴァンが、どのように人と社会的な繋がりを得ていくのかを描いた作品。

「プールサイドデイズ」や「ワイルドライフ」と同じで機能不全家族で育った若者の葛藤〜逆境への向き合い方が細かく描かれていたと思う。



【以下、私的なネタバレあり感想になります】

何を隠そう私は機能不全の家庭育ち(親に十分な愛情を注がれずに育った人間)なので主人公の気持ちがよ〜くわかった。

事実を告白するシーンでは号泣した。
映画館では周りの人達は全然泣いてなくて、マイノリティであるこっち側の気持ちはそうでない人達には絶対に分からないんだなと改めて思った。皆さんのレビューの振れ幅にもよく表れてると思います。

機能不全家族について描かれた海外の作品はよくありますが、日本では映画だったりニュース等の情報媒体で取り上げられることが少ないので認知度はかなり低いと思います。(私は海外で出版されてる本を読み漁って情報を得、自分がそうであると認識しました。)本人や周りが気づいてないだけでこういう子は日本でもあちこちにいます。

告白後、エヴァンが幸せだったと言ったように、生きている間のどこかで他人のものでもいいから幸せな場面に遭遇しないとエヴァンのような子は精神障害を抱えたまま生きることになります。
とはいえこの映画のように他人の人生に干渉しすぎるのは良くないとちょっと思いました。理解のある人に助けてもらう話の方がベターだったのではと思います。監督は理不尽な世の中ではこうして助け合うべきだと言いたかったのかもしれません。

この映画がよく分からなかったという人は、こういう子もいるんだな〜と、知識としてやんわり知るきっかけになった、くらいに思ってくれたらなと思います。


やはり感情のすべてを吐き出すにはミュージカルが効果的だなと思った。
途中グレイテストショーマン感のある楽曲があってテンション上がった。

人間が感じる辛さ、痛み、幸福と絶望、等、感情の機微が画面からずっと伝わってきて、あ、自分と同じ気持ちの人が世界中にいるんだなと、未熟で子供だった頃の自分の気持ちが癒される気分になった。心から見て良かったと思う。

長文を読んでくれてありがとうございます☺️
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