あらおなな

理大囲城のあらおななのレビュー・感想・評価

理大囲城(2020年製作の映画)
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ただ自由に生きたいだけなのに、なんでこんな目に遭わなきゃいけないの?
なにしてんねん、中国。と思い続ける80分だった。
3年前、私が大学に入って喜んでる時に隣の国でこんなことが起こってたなんて知らなかった。
でも、この映画は、だからといって誰か1人に主人公を定めたりせず、理大に立て篭もる学生たちが弱っていく様を淡々と映しているのが面白かった。
デモ隊の様子をニュースで目にすることはあってもどこか現実的に感じられなかったけど、彼らも人間なんだという当たり前のことを改めて知った。
好きな人がいて、ドアなどを取り外して必死に走って、でも寝不足で疲れてしまって、それでも出たら逮捕されてしまう。
主人公もいないし、具体的なわかりやすいストーリーもないが、彼らの人間のしての有り様を知り、考えることができるこの映画は紛れもなくドキュメンタリーだと思う。
それにしても、なんであそこまでストーリーになるほど高画質で高音質で撮影できたのか?ものすごく気になってしまった。
それから、あれは一体何時間の素材があって編集して一個一個にモザイクをかけるという途方もない作業をどうやってやったのかも気になった。

上映後の森達也の話も面白かった。
加害者側を知りたい気持ち、とてもわかる。この世に完全悪なんて存在しない、彼らはどうして学生たちにあれほどのことをしてしまうのか、彼らはどういう人間で、どんな悩みを持っているのか。
そこに想いを馳せないと、結局暴力は暴力を生み、負の連鎖は途切れることはない。

追記:雨傘運動が起こっていたとき、理大の外にいた香港人たちはなにをしていたのか?どれだけの人が不自由を感じていたのか?全体も知りたいと思った。
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