けんけん3号

必殺仕掛人 春雪仕掛針のけんけん3号のレビュー・感想・評価

必殺仕掛人 春雪仕掛針(1974年製作の映画)
3.3
続けて緒形拳の藤枝梅安2作目を鑑賞。
前作のようなコミカルさはなくシリアス。必殺の原点に帰った感じ。そうなると秋野太作がいないのは正解。的の相手が手強いので、梅安が死をかなり意識したり、小杉が己の意志を貫き人を殺めるが、その重さに葛藤したり、命についてがテーマになっている。人の命を奪う仕掛人もさることながら、盗人と強盗の違いを比べ、人殺しの残酷さ、命の尊さを表現している。お千代の人間の業の恐ろしさ、梅安の手を血で染めた者の苦悩を描いているが、実際に映画ではそこまで深く描かれておらず、長年の必殺のファンならそこら辺も汲み取れるが、一見さんには難しいだろう。もう少し尺を使ってそこを掘り下げていたら、作品に重みも出ただろう。梅安とお千代の恋模様も浅かったし…。それでも、梅安のピンチ、岩下志麻の妖艶な悪ぶり、元締めの仕掛など見どころがあるので、普通には楽しめた。しかし、平尾昌晃のテーマ曲は盛り上がる。ラストの西部劇のような演出、この後の小杉がさらに背負うものが大きくなるだろう闘いで、敵を迎え撃つ感じがカッコ良かった。やっぱり梅安は面白い。