柏エシディシ

フィアー・ストリート Part 1: 1994の柏エシディシのレビュー・感想・評価

2.0
異なる年代にオマージュしたホラー映画の伝統を今風に脱構築した新しい感覚の作品が観れると思ったら、そんなこともなく。
とにかく状況の説明台詞が多くテンポが悪い。キレがない。途中で飽きてしまった。
傑作と言われるホラー映画を再見するとよく判るのだが、良作ほどプロット自体はシンプルだし、時にサイレント映画の様に台詞が少なく、映像自体で世界観のルールやプロットを見せているもの。
本作がその点でまず致命的に酷い。

プロフィールを見るところ自分と同世代の監督なので、「スクリーム」や「ラストサマー」「パラサイト」辺りが本作の元ネタなんだろうけれど、それを一回咀嚼した上でのオリジナリティがあるかと言われればそうなこともなく、それでいて無邪気な模倣にもなれていなくてちょい厳しい。
大ネタ中心のサントラのチョイスもセンスが感じられない。
90年代の雰囲気を巧く出しているかと言われると微妙なんだよなぁ……本当にこの頃のホラー映画や音楽に愛情がある様には率直に言って感じられなかった。
かと言ってキャラクターに魅力があるかと言われるとそんなこともなく、女性監督らしい新鮮な視点があるかと言われると微妙。主人公のジェンダー設定も作品の真新しさにはなっている訳でもないし。ネトフリが3作も製作任せる訳だから、それなりに評価されているとは思うのだけれど……うーん。

乗りかかった船だから最後まで付き合うけれど3部作の先が思いやられる。いい意味で裏切って欲しいが。
柏エシディシ

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