MV・CM畑出身監督らしい映像美はたしかである一方で、ヴィジュアル先行の若きディレクターたちの画に個性はあまり見られず。やや紋切り型の演出に感じ、新しさはなかった。
話としてはなんとも苦々しい若者たちの日常を描いているが、とにかくモノローグだらけで進む内容には少々面食らった。
ここは行動や表情で読み取りたいと思うところも、心の声がだだ漏れてくるのはちょっと情緒がない。モノローグで語ってたと思ったら、時に不自然な独り言を呟く。モノローグと独り言の使い分けが不自然で、なんのためのモノローグ多用なのか不思議だった。
またカメラは演者への寄りが多く、モノローグと相まってどんどん内省的な見え方しかできないのに、どの人物も共感しにくく観客との距離感がアベコベな印象。
フィックスが欲しいところもゆらゆら。雰囲気はあるけれど落ち着かない印象。
もっと落ち着いた、俯瞰できる引きの視点が欲しかったところ。
全ての登場人物に違う場面、状況で同じセリフを言わせる演出は面白いけれど、ちょっとこじつけ感強かったのもたしか。
かなり若い才能が多く出演しているのも見所のひとつ。退屈はさせない編集は見事。
