ツクヨミ

スパゲティコード・ラブのツクヨミのレビュー・感想・評価

スパゲティコード・ラブ(2021年製作の映画)
4.1
交錯しているようで交錯していない不思議な日常群像劇。
東京に住んでいる人々の日常は華々しくも忙しく厳しい。そんな日常を13人の視点から見ていく…
東京に住む人々の群像劇ドラマ。今作はまず映画手法的として東京に住む13人の物語を並行して描いていたのが好印象だった。具体的にはクロスカッティングの多様という映画技法であるが、たくさんあるクロスカッティング映画"イントレランス"や"クラウドアトラス"などと今作が違う点は多彩なマッチカットの使い分けであるように思う。それは写真や動画を使ったビジュアルマッチカットももちろんであるが、特筆すべきはセリフを使った新感覚サウンドマッチカットが要員として多様されていたからに他ならない。クロスカッティング多様映画に於いてショット同士を繋ぐマッチカットは実に重要であるが、それを同じようなセリフで繋いでいくのはかなり面白い。特に中盤で「やばっ」というセリフ一つで13人の物語が一本の線に繋がるカタルシスは美しいとさえ言える。
また今作は内容として東京に住む"悩める"人々を描いた話だ。彼らは各々違った感情や意思のためにもがき苦しみ人生の転機を迎えていく展開も面白く、しっかりとしたテーマが13人の異なる物語を統括している。
しかし日常劇と言う点ではなかなか見ていて面白かったが、何か一押し足りないという印象もあったのが否めない。しかし映画技法の活用の仕方に於いて個人的に素晴らしい感銘を受けたので何度も見たくなる映画の一本になりそうだ。
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