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ONODA 一万夜を越えてのKのレビュー・感想・評価

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)
3.9
高所恐怖症。フィリピン ルバング島。秘密戦。佐渡おけさ。「生き残るんだ」。地図の作成。米。呼びかけ。ラジオ。南岸待。バイアス。まさに信じられないような話。いかに戦時中の日本の精神状態が特異で、上司または御上という存在が絶対的だったか伝わってくる。現地の人からすれば襲撃は恐怖でしかなかっただろう。日本以外にも小野田さん横井さんのような人はいたのだろうか。あずき。現実を受け入れる小野田さんの姿を見ていると、どんな気持ちかを想像させられてこれまでに味わったことのない感情が込み上げてきた。小野田さんのWikiには肯定的な意見があまり見当たらない。こういう人だからこそ生き延びられたのだろうと思うと同時に、なぜ日本がこれを映画化しなかったか(出来なかったか)を何となく理解できた。感覚的には『セデック・バレ』を観たときに近い。おそらく現実はもっと悲惨だったのだろうと思う。映画内だけのエピソードと物語に関しては、観て良かったと思える一本だった。役者陣の迫真の演技も素晴らしかった。
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