まさ

梅切らぬバカのまさのレビュー・感想・評価

梅切らぬバカ(2021年製作の映画)
3.6
50歳で自閉症の息子とその母を主人公に、彼らとその周りの人たちとの日常を描いた作品。ドラマチックな演出はなく、彼らの日々を静かに見つめる。日々の生活の中にある、心が通い合う温かさ、そして互いに理解を交わらせることができない冷たさ。作品全体の静かなタッチが、それらをかえって浮き彫りにしている。人は皆、いろんな事情を抱えている。しかし、自分の事情にばかり敏感で、「お互い様」が難しい世の中。本作では、薔薇色の結末どころか、結末そのものが描かれていない。いつもなら物足りなさを感じるところだが、今作にはむしろ真摯さ、そして私たちへの投げ掛けを感じた。本作で描かれた日常は、私たちの身の回りの日常でもある。私たちも地域で暮らす一員だ。私たちがどのような暮らしを選び、築いていけるかが問われているような気がした。
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