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ノイズのRのネタバレレビュー・内容・結末

ノイズ(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2022年の日本の作品。

監督は「母性」の廣木隆一。

あらすじ

時代に取り残され、過疎化に苦しむ孤島、猪狩島。島の青年、泉圭太(藤原竜也「鳩の撃退法」)が生産を始めた黒イチジクが高く評価されたことで島が注目される中、元受刑者の小御坂(渡辺大地「MIRRORLIAR FILMS season3」)が島に災いをもたらしたことで島の平和な日常が一変していく。

Netflixにて、公開時ちょっと気になって観たかったんだけどタイミングが合わず、ようやく鑑賞。

お話はあらすじの通り、まず注目すべきは主演があの藤原竜也で、その幼なじみの地元狩人の純を松山ケンイチ(「大名倒産」)が務めるダブル主演という形なんだけど、そう皆さんご存知の通り、「デスノート」の夜神月とLをそれぞれ演じた2人の久々の共演作ということですね!!

もちろん、本作とは何の繋がりもないわけなんだけど、2006年の一作目公開から約16年、未だに色んな作品に出て、それぞれ第一線で活躍している2人だけども、未だにあのイメージが鮮烈に記憶に残っていることからもなんだかんだすごい作品だったんだなぁと再認識。

で、他にも猪狩島の新人警察官、真一郎役に神木隆之介(「大名倒産」)だったり、黒木華(「キリエのうた」)、柄本明(「福田村事件」)、余貴美子(「映画めんたいピリリ パンジーのうた」)、そして永瀬正敏(「GOLDFISH」)などかなり豪華。

で、お話の舞台となる島に元受刑者の小御坂という男がやってくるんだけど、演じている渡辺大地がまた強烈。どうやら過去に幼女強姦殺人を犯したサイコキラーらしいんだけど、元々島の再雇用のために訪れたらしく一緒に島に来た保護観察官の人を速攻で殺して(俺の父親もこの仕事しているから観ていて辛い)、藤原竜也演じる圭太の一人娘が家で1人おままごとをやってるところに出会して、多分立ったままシコるというヤバさ具合。まさに平穏な島にやってきた「ノイズ」のような存在感。

で、こいつを半ば正当防衛なんだけど、弾みで殺してしまった圭太と純、そして真一郎が島の未来を守るために死体を隠すことを決意したことでどんどんとドツボに陥っていくんだけど、その後も小御坂を追ってきた永瀬正敏演じる畠山率いる警察がやってきたり、死体を隠そうとしていることに余貴美子演じる市長に気付かれて、誰がスケープゴートになるかで揉めてるところに柄本明演じる地元のおじいちゃんが市長に襲いかかって、で市長もスタンガンで反撃してもみくちゃになってるところで2人とも死んじゃってまたも死体が増えちゃうなどもうどんどんやばい事態に…。

で、もはや3人だけでは秘密を隠しきれないとどんどん協力者が増えていくんだけど、ここでは過疎化していく島民の外部に対する「排他的」な空気感の演出がすごい。捜査にやってきた警察をまるでそっちが犯罪者ばりに糾弾したり、黒いちじく栽培で成功した圭太をまるで英雄のように必要以上に持ち上げたり…一見のどかに見える島も一皮剥いたら人の暗部的な一面が垣間見えて、圭太が栽培した「黒いちじく」の見た目のように、かなりグロテスク。

また、その様子を外部から冷ややかな目線で見つめる永瀬正敏演じる畠山の存在感が非常に効いていて、始終ガムをくちゃくちゃさせながら、もらった黒いちじくを「気持ち悪ぃ」と言って退けたりと永瀬正敏のクールな演技と島の空気感に似つかわしくない黒のロングコートスタイルの異物感もあってめちゃくちゃ浮いてはいるんだけど、島の裏側を暴く役割としてかなりかっこよかった。

また、後半からは死体隠してとは別に圭太を糾弾する「何者か」の存在によって、更に窮地に陥っていくんだけど、その中で遂に秘密を隠し続けるのに耐えきれなかった真一郎が交番で拳銃自殺してしまう。その前にどうやら1人で息子を育て上げた真一郎の母親仁美(鶴田真由「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」)との会話シーンがあるんだけど、そこでの親子の仲睦まじい様子が描かれただけにその後、彼が自殺してしまったことで仁美が悲しい叫び声をあげながら息子の元に向かおうとして取り押さえられる様が痛ましい。自殺する際に「ぜんぶ自分がやりました」と動画を撮っているんだけど、「(お母さんに初任給で買ってあげるはずだった)ダウンジャケット買ってあげられなくてごめんね。」とか言うシーンとか悲しくて見てられんかった…。

で、最後どういう顛末を辿るのか、全く予想がつかない中、思っていた以上にバッドエンディング…。

つか、こういうのって圭太を陥れた「あいつ」も死んじゃうか、一緒に逮捕されるかのどちらかに転ぶかと思ったら野放しなんだな。まぁ、黒木華演じる加奈もどうやら気付いているっぽいし、畠山にも気づかれてるっぽいし、言うても幸せにはならなそうだけど。

ラストもあれだけ島を守るために奮闘した圭太の結末にしては悲しすぎるし、これだけ豪華な布陣でラストは御為ごかしのめでたしめでたしで済まさない感じで終わらせたことは評価に値するけど…まぁ後味は良くないわな。

こういう後味が悪い作品が好きな人は満足するかもしれないけど、それ以外の人にはうーんという感じの作品ではあって、俺は後者なので作品としては面白いのかもしれないけど、あんまり好きじゃない作品でした。
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