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欲しがり奈々ちゃん ひとくち、ちょうだいのatamatamaのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

学生時代から、つまみ食いが好きな奈々。初めてのつまみ食いは、友達エミカの彼氏の宮田君。人の物が輝いて見える。
それは、他人に向けられた愛情や好意を、背徳感を混じえながら自分に向けさせるから、より一層幸福感が増すのかな?
罪を背負って愛して欲しいから、自分1人に愛を向けられると、重たくて冷めてしまう。それは大人になっても変わらず。
前の職場の飯塚とも、不倫関係。
“頼んでもない”のに、飯塚は、奈々の物になろうとして、離婚。それを奈々は拒絶。ちょっと。ちょっと欲しいだけ。
拒絶した飯塚のお土産は、ちゃっかり食べちゃう、欲張り奈々。
コンビニの、松山店長は、昼シフトの、松山ユキさんの物。2人は夫婦。だから欲しくて堪らない。指輪を見つめ、
「奥さん愛してますか?」しっかり、自分ではない誰かに、愛が向いてる事を確認をする。行為に及んでいても、指輪を外させない。やっぱり背徳感に興奮するのでしょう。
姿見の前に立ち、亡くなった母親の服を着て、店長とユキさんの行為を妄想する。普段店長は、ユキさんの事をこんな風に愛しているんだろうという妄想。
“私だけの貴方。貴方だけの私”ってのが嫌なのか。
父親に、「昔から人の物を欲しがる所がある。ちょっとおかしいぞ」と言われる奈々。それに対して憤慨するけど、自分でも、この感情は説明がつかない。店長に対して、「分かんないけど、好き」というのが証拠。
ドライな大人の関係かと思いきや、かなりウェットな奈々。重たいメンヘラ女の側面を覗かす。
どうなる事かと思えば、あらぬ方向にストーリーは進み出す。店長とユキさんは夫婦なんかじゃなく、店長のただの片想い。
ユキさんは、父親と結婚。
父親は、亡くなった妻の事を思い、家を離れる事が出来なかったが、娘が帰って来た事により、ユキさんと結婚を決める。
過去への決別で、妻との思い出の家で、ユキさんと行為に及ぶ。
奈々は店長の元へ。店長に事の顛末を問い詰めると、そもそも付き合った経験すらない、素人童貞で、惨めにユキさんに片想いをし、わざわざ指輪までこさえる、しがない中年男。奈々は、「告白しちゃいなよ」と、店長に言う。それは、奈々の物になってしまう店長じゃ嫌だから?奈々は、店長を愛していたいから、そうさせる?
奈々は父親の幸せを考えないんだと、恐怖。
奈々との偽りの関係では、ドライな大人の恋愛を出来ていたのに、本気で好きだったユキさんの事になると、童貞感が増す店長。大人のユキさんには、本当に童貞に告白されたかのように、笑って「ありがとう」と言われる。蓋を開けてみれば、奈々の物になってしまった店長。奈々のどういう心境の変化か、熱は冷めずに、店長を愛し続ける。ユキさんの結婚で、落ち込み、店を空けてた店長は、職を失う。代わりに、藤村君が店長に。「どうでもいいや!なんとかなりますっ!」2人はラジオを聴きながら笑い合い、映画は終わる。

ドライにもなりきれず、ウェットにもなりきれない、なんとも歯痒い映画。一貫性がないというか。心境の変化を見せないと、ラストの変化は受け入れられないかな。「なんで?」という事になってしまう。エロいだけの映画かと思ってたけど、笑える部分があったり、ストーリーも、割と見応えあっただけに、残念。シフトの確認のシーンとか笑った。「一杯入れられます」下ネタやねー。父親が食べてるウインナー見て、「一口ちょうだい」父親にも発動すんのかよって笑った。事実は違ったけど、奈々は妄想で興奮出来てた事が分かって、心境が変わったんかな?考え過ぎか。
てか、母親が絶対キーになると思ったけど、何にも関係無くてビックリした。何でじゃあ、母親の服を着てたんやろか。よく分からん。
なんとも惜しい作品でした。
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