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フランスのsonozyのレビュー・感想・評価

フランス(2021年製作の映画)
4.0
『プティ・カンカン』『ジャネット』『ジャンヌ』等のブリュノ・デュモン監督によるレア・セドゥ主演のブラック・コメディ。

TVニュースショーのパーソナリティ/ジャーナリストのフランス(France de Meurs/レア・セドゥ)は、街を歩けば撮影やサインを求められるスター。
宮殿のような家で小説家の夫と息子と裕福な暮らしをしているが、家族関係は冷めている。

マクロン大統領の会見現場ではプロデューサーのルー(ブランシュ・ガールディン)とジェスチャーでふざけ合ったり、会見が始まっても隣の男とヒソヒソ話ししたりで、マクロン大統領から名指しされると嫌味な質問で追い込んでほくそ笑むようなキャラ。

カメラ&音声スタッフ引き連れて危険な戦地などの取材もこなすが、あくまで自身の番組用のパッケージ素材としか考えておらず、兵士のポーズを演出してウケたりしてる。

ある日、車からおりた息子に話しかけながら車を動かしたフランスは、前にいたバイク便の男にぶつけてしまい、軽い接触だったものの男は膝の怪我で全治3ヶ月となってしまう。

移民らしいその男と両親に最大限のサポートをするが、この事故を機に、動揺・不安感に襲われ、ちょっとしたことで泣いたり感情不安定になっていくフランス。。

ふてぶてしいメディア(マスゴミ?)のアイコンのような存在だったフランスが突然、罪悪感・内省モードに変わる。
その感情のゆらぎや突然流れる一筋の涙を長めのショットで捉えるカメラ。この長さとアングルが印象的で、レア・セドゥの感情表現を堪能する作品となってます。

フランス語まったく分かりませんが、France de Meurs ≒死せるフランスという意味のようで、フランス国家やジャーナリズムへのシニカルな批判を込めつつ、ラストのレア・セドゥの表情からは「でも死なへんで〜」的な強さも見えたような。
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