映像も素晴らしいんだけど、音の映画だった。
音がシーンを進めていく箇所がたくさんあって、シナリオや演技での進行に慣れている身としては、そのリズムに乗るまでが大変だった。
たとえば雨の音。シーンによって異なった音なのは当然だけど、同シーンでも遠近や時間の経過、視点によって変化が常にあって、そこに耳を澄ませるのは、結構、体力が必要だった。
画面の絵とは裏腹に緊張感のある音の進行が続き、その緊張感に疲れて何度が寝落ち。とはいえ、画面も観客に緊張を与えるもので、長回しの静止画のようなシーンは、現在の展開の早い映画やドラマのあり方への抵抗にようにも感じた。
あの撮り方の多くを引き受けていたティルダ・スウィントンはすごいなぁと思う。
アピチャッポン的世界（現実と非現実、生と死、現在と過去が隣接し交差する）は「緑」がベースになってきたように思うのだけど、今作は「水」だったなぁと思う。
あと、「自分はハードディスクで、ジェシカ（ティルダ）はアンテナ」という台詞があるんだけど、HDの情報とアンテナは接続できんやろ…と心の中で突っ込みました。
